悪魔のソース・博多んぽん酢を新しい博多の名物にしたい。老人のかなわぬ夢でなく、夢を現実にしてみたい。脳梗塞から三度の生還。ヨレヨレ、ボロボロになりながら、果たせぬ夢を追い続ける男に、強力な助っ人が現れた。平凡だったそれまでの人生が「まさか」の出来事で、がらりと変わる。一度ならまだしも、それが二度も三度も続いた。波乱万丈だが実に、愉快だった。人生の終末期を迎えた今、またもや「まさか」の驚きである。ヒルマン監督ではないけれど、信じられな~いのだ。人生、終わり良ければすべて良しなのだが、それはまだわからない。

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2003年07月09日

悪魔の術中にはまった男

「どうしたらあんなに美味しいものができるのですか?」
真剣そうな顔をしてそう聞かれると、半分お世辞だとわかっていても嬉しくなります。
およそ、食べ物の名前としてはふさわしくない【悪魔のソース】というすごいネーミングですから、大概の人は驚いちゃう。それで、初めは恐る恐る口にされますが、名前に似ず、優しい味なので、たちまちフアンになってくださるようです。こっちは悪魔の<とりこ>がまた一人増えて、内心は「しめしめ」。つい、口元がゆるみます。

名付け親は、警察官僚の知人です。フランスの日本大使館での勤務を終え、帰国したばかりの彼と近況を話し合っていたところ、ソースづくりの話を聞いて、フランス料理の最新事情を聞かせてくれました。

その話のなかで「デイアブルソース」というお肉のソースが話題になりました。デイアブルというのは、ちょっと憎めない小悪魔、いたずらっ子といったような意味で、ソース自体は、ピリッツとした辛味の効いた個性的な味がするそうです。

僕の頭のなかで、ピッピッと信号が鳴り響きました。昔、新聞記者だったボクは、スッポンとかマムシとか陰口をたたかれていましたが、自分では、この呼び名がお気に入りでした。なにしろ、食らいついたら離さないのがスッポンです。「悪魔のソース」と言う名前は、これから未知の仕事に挑戦しようとするボクに相応しいように思い、命名しました。

「よ~し、喰らいついたらはなさないぞ」。何年たっても初心を忘れないぞという願いもこもっていました。

こうして、ソース屋人生はスタートしました。あれから23年、67歳になりましたが、未だ道遠しです。途中、二度の大病を患いましたが、ソースの神様に「まだ、やり残した仕事があるはずだ」と助けられ、生かされました。

年齢からすると、もう人生も黄昏でしょうが、まだまだ若い連中に負けるわけにはいきません。しっかり目標に喰らいついてボクの夢を実現させます。

これは、悪魔をとりこにするつもりが、まんまと、悪魔の術中にはまってしまった男の泣き笑い人生奮闘記です。  


Posted by 吉野父ちゃん at 11:56Comments(0)まさかの人生