悪魔のソース・博多んぽん酢を新しい博多の名物にしたい。老人のかなわぬ夢でなく、夢を現実にしてみたい。脳梗塞から三度の生還。ヨレヨレ、ボロボロになりながら、果たせぬ夢を追い続ける男に、強力な助っ人が現れた。平凡だったそれまでの人生が「まさか」の出来事で、がらりと変わる。一度ならまだしも、それが二度も三度も続いた。波乱万丈だが実に、愉快だった。人生の終末期を迎えた今、またもや「まさか」の驚きである。ヒルマン監督ではないけれど、信じられな~いのだ。人生、終わり良ければすべて良しなのだが、それはまだわからない。

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2003年09月09日

悪魔の術中にはまった男「へべす」の里を訪ねて

へべすの印象があまりにも強烈だったので、予定を変えて産地を訪ねることにしました。思いついたらすぐ腰を上げる。まず、現場を訪ねて人に合い、話を聞かせてもらう。そして、目、鼻、舌の感覚で覚えたその味を脳にインプットする。

 電話でサンプルを取り寄せることは簡単ですが、生産者の顔や土地の表情を自分の目で確かめたい。農薬使用の有無を確かめることはお客様の健康に影響することだから、自分の目で確かめておきたい。小さなことだが、この小さな積み重ねが〔安全」な原料の入手につながります。

 日向市で地方記者をしている友人に電話を入れると、へべすの出荷が始まったという夕刊用の記事を書いたばかりで、資料や写真もそろっている。関係者に会えるように段取りもしてくれるという。

 食事先でへべすに出会ったのが偶然なら、生産地に友人がいたことも偶然といえば偶然。なんだか「ん」がついたようでとても嬉しかった記憶があります。アジの塩焼きをへべすで美味しく頂いて3時間後には、果樹畑に立っていました。

 日向市役所やJA日向、生産者の皆さんが勢ぞろいして待ちわびた様子でした。手際のいい手配に驚くとともに、地元の皆さんのへべすに寄せる情熱が並々ならぬことを感じました。

 へべすの栽培は、宮崎県北部の日向市を中心に隣接町村で行われています。目の前は黒潮躍る日向灘。五ヶ瀬川をさかのぼると、そこは神々の故郷、五ヶ瀬、高千穂です。毎年、秋になると高千穂の岩戸神社で夜神楽が始まり、徹夜で神楽が奉納されます。

 古来より「ひむか」太陽に向かう国。すなわち、日向の国と呼ばれる宮崎県にあって「日向」を市名にしているぐらいですから気候も温暖で、四季おりおりの果物や野菜、魚が豊富です。

 へべすを広めた長宗我部平兵衛さんは、江戸時代に日向市富高に実在したお百姓でした。庭に植わったミカン?を食べると健康に良いことから、近隣の人たちに苗木を分けてやりました。

 今度はそれを貰った人が次の人へ。そのまた次の人が今度は、娘の嫁入り道具として苗木を持たせるようになりました。こうしたことが繰り返し、繰り返し行われ「健康を守る木酢」として定着するとともに、平兵衛さんの徳を偲んで<へべす>と呼ばれる
ようになったそうです。

 へべすはユズやカボス、ダイダイなどと同じ柑橘の一種ですがそのルーツはわかりません。多分「偶発実生」したのでは無いかと言われています。「偶発」とは人の手ではなく、自然の造化により、そして「実生」とは接木や挿し木ではなく、種子が自然に発芽して、それが成長したことを言います。

 平兵衛さんは、偶発実生した原木から接木をしては近隣の人に分け与えたものと思われます。高さや幹、枝の大きさなどはユズやカボスと大差がありません。深緑の果実は直径5㌢前後で、素人にはユズかカボスか、見分けることができないくらい良く似ています。でも、味や香りはまったくの別物です。

 美味しさの基準は人それぞれですから「へべすが一番」なんて
口が裂けても言えませんが、味、香りは、おだやかで爽やか。クセのない味でした。

 「こうして飲んだらウマイですよ」
 目の前でつくってもらったヨーグルトは、とんでもないほどうまかった。コップの牛乳にへべすと砂糖を加え、シェイクしただけなのに、トロリ濃厚な舌ざわりで、真っ白なヨーグルが上唇にべったり。行儀が悪いが、それを舌でなめるようにぬぐってやる幸せ。あまりの美味しさに三杯もお代わりしてしまった。
 炎暑のなか2時間も車を飛ばした疲れも、ヨーグルトで吹っ飛んでしまいました。

 へべすは、食品としての機能性にも優れています。細胞内の酸化還元現象を活性化し、同時に細胞内の呼吸作用の調整を行う働きがあること。さらに、ここがすごいと思ったのは必須アミノ酸の含有量でした。

 人間の身体のほとんどは水分です。その次が蛋白質。その蛋白質を合成(つくる)するのがアミノ酸です。アミノ酸は約20種類ありますが、そのうち9種類のアミノ酸は<必須>アミノ酸と呼ばれています。

 この必須アミノ酸は、人間が体内で自由につくることが出来ず、必ず食品から補給しなければならないから<必須>と呼ばれています。へべすには9種類ある必須アミノ酸のうち、8種類が含有されています。アミノ酸を含む食品のなかでも群を抜いています。

 スレオニン、バリン、メチオニン、イソロイチンロイシン、フェニルアラニン、リジンヒスチジンの8種類です。蛋白質は毎日、合成と分解を繰り返していrますので、それを構成するアミノ酸も毎日、補給する必要があります。

 平兵衛さんは、こんあ身体の栄養メカニズムまでご存知なかったでしょうが、へべすを日常的に摂取することが健康に良いことを体験的に知り、普及に努めたのです。

 山あいにあるへべすの発祥地には、平兵衛さんの顕彰碑と栽培の歩みを記した記念碑がありました。  


Posted by 吉野父ちゃん at 11:11Comments(0)まさかの人生