悪魔のソース・博多んぽん酢を新しい博多の名物にしたい。老人のかなわぬ夢でなく、夢を現実にしてみたい。脳梗塞から三度の生還。ヨレヨレ、ボロボロになりながら、果たせぬ夢を追い続ける男に、強力な助っ人が現れた。平凡だったそれまでの人生が「まさか」の出来事で、がらりと変わる。一度ならまだしも、それが二度も三度も続いた。波乱万丈だが実に、愉快だった。人生の終末期を迎えた今、またもや「まさか」の驚きである。ヒルマン監督ではないけれど、信じられな~いのだ。人生、終わり良ければすべて良しなのだが、それはまだわからない。

2010年10月09日

土佐味紀行・久礼のたたき

 暑さも和らいだので、一年半ぶりに土佐の高知を旅した。
 旅の目的の一つは、「土佐の一本釣り」の舞台になったカツオの町{久礼}を訪ねること。もう一つは、土佐市宇佐漁港の鰹節工場を再訪することだった。
 今年の夏は異常だった。土佐沖には毎年、春と秋にカツオが回遊して来る。自然のサイクルはそうなっているのだが、今年は大丈夫だろうかと思いつつ、高知から特急{南風}に乗った。
 一時間弱で土佐久礼駅に着いた。目当ての久礼大正町市場は漁港のすぐそばにあった。大漁旗がはためき
威勢のいいおばちゃんが、「今日はええカツオが揚がっちゅうよ」と声をかけてくる中、ゆっくり歩き始める。市場が開かれるのは毎日、午後一時ごろ。早朝、港を出て昼近くまで魚を獲る「日戻り魚」が久礼の鉄則だ。アジ、イワシ、サバなど市場の定番魚は見るからに生き生きしている。
 「のれそれ」というアナゴの稚魚は真っ白できれいだ。カタクチイワシの稚魚、「どろめ」も旨そうだ。
チャンバラ貝という珍しい貝もあった。貝がチャンバラするわけではないが、堅い貝のフタを刀に見立てこう呼ぶのだそうだ。
 遅い昼めしは市場食堂で食べた。どろめものれそれも、仏手柑(ぶっしゅかん)という青々し柑橘を搾り、ぽん酢にして食べた。ウツボとカツオもたたきにしてもらった。ウツボは蛇のようでグロテスクだが、意外にアッサリして上品な味。コラーゲンを多く含み、しかも滋養強壮にも効果アリと聞き得した気分になった。カツオのたたきは初めて本場のものを食べた。絶品だった。
 丸々と太ったカツオを三枚に下ろし、背と腹に分け塩を振って網に乗せ、藁火で一気に燻す。表面に火が通り、皮が縮れると出来上がる。この調理法、実に理にかなってことを知った。カツオの堅い皮も身も食べられる上に、藁の香りが焚きしめられ独特の風味が生まれる。皮と身の間にある脂が熱の作用で極上のフレーバーとなる。薬味は青ネギ、玉ネギ、みょうが、大葉、などなんでも良いが、絶対に欠かせぬのがニンニク。高知県内のほとんどの地域では、藁火で燻し冷水でしめ、柚子ぽん酢で食べる。しかし、一本釣りにこだわる久礼では、温かいまま厚く切り、醤油に砂糖を加えた甘いタレで食べる。なま温かくて甘いたたきこそ、まっこと土佐の味だった。

 




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