ナブラを追って

吉野父ちゃん

2009年05月21日 09:32

 先週はナブラを追って高知を旅した。カツオの群れは、宮崎県都井岬沖で向きを変え、足摺岬沖から室戸岬沖を蛇行する黒潮の流れに乗り北上していた。高知県水産試験場の話によると、黒潮流軸は浦戸湾沖20マイルにあるそうだ。各漁港の引き縄漁や一本釣り漁も活況を呈している。取材で訪れた日、土佐市宇佐漁港へは26隻入港、1.8㌧の水揚げがあった。

 目の前の海で獲れたカツオを「節」に加工するための煙が夕空にたなびく。そんな昔ながらの光景は奇跡的とすら思えた。港の居酒屋で食べたタタキや刺身も良かったが、圧巻はカツオメシ。後を引く美味しさだった。
 
 翌日訪れたメジカで知られる土佐清水は市長選挙の最中。争点の一つが、メジカ〔ソウダカツオ〕を原料にした「宗田節」の活性化。子や孫の世代も私と同じようカツオを味わい、節を使った出汁で本物の味覚を覚える。そのために今、守らねばならぬ遺産がある。もろい海の資源のうえで辛うじて成り立っていることを改めて思う。