2003年09月24日
悪魔の術中にはまった男「負けるが勝ち」
プレゼント応募者から寄せられるメッセージで「仲がよろしいようで」と言うのが結構あります。写真を見れば、そんな風に見えるのかも知れませんね。でも、チャンチャンバラバラはしょっちゅうですよ。喧嘩のタネはとるに足らないものですが、夫婦喧嘩も深刻になると、味に影響するから「負けるが勝ち」。大抵はボクの方でシッポを巻きます。
いさかいが続くと味づくりに影響します。本当ですよ。例えばミキシング作業。ドレッシングづくり最後の工程で、オイルを垂らし入れながら、ゆっくり、ゆっくりと混ぜて、醤油や酢、玉ねぎと合わせます。味を馴染ませ、バランス良く仕上げるには、一定のリズムが必要で、一番、神経を使う作業です。
しかし、もやもやしたままでやるとうまくいきません。渦の流れに乱れが生じ、渦が大きくなったり小さくなったりします。玉杓子を回すスピードも速くなったり、遅くなったり。十分に酸素を吸わせてやれないまま、とんがった味になります。
工場見学のお客様が昼の食事をすませて戻られたようですね。
吉野「お帰りなさい。ちょうど、良かった。お客さん、貴方、時の氏神ですね。えっ、な~に、こっちの話ですよ。これから、ミキシングを見ていただきます」
お客「大宰府天満宮に寄り道したので遅くなりました」
吉野「それは良かったですね。修学旅行が多かったでしょう。なにしろ学問の神様ですからね。こっちもしっかり勉強してくださいね。
どうです。ちょっとやってみませんか。なにをってミキシングですよ」
お客「体験学習ですか。緊張しちゃうな」
吉野「心配しないで。ちゃーんと教えますから。
まず、この玉杓子の棒の上の方を右手で包み込むように握ってください。左手は、手を添えるように軽くね。じゃあ、杓子を時計周りに回してください」
お客「こうですか」
~いきなり、力を込めて回す。
吉野「こりゃ、ダメだ。いいですか。回せばいいというものではありませんよ。回してはダメ。右手で突いてごらんなさい。ボウルの真ん中じゃなく、ちょっと左側。そこそこ」
お客「回り始めたが、重いね。腕がだるくなっちゃった」
吉野「手を緩めたらダメですよ。肩の力を抜いて。右で突く。左手は軽く添えるだけですよ。そうそう。その調子」
~ウズが大きくなり、流れも速くなったのを確かめて
吉野「色が変わり始めたでしょう。上と下がまざってきたからです」
お客「底の方に沈んでいた醤油がウズの中心に集まり、ボウル全体に広がりましたよ。
不思議だな。杓子は回すものだと思っていたのに、突いてやるだけで、自然に回るのですね」
吉野「本当はね、右手は棒のてっぺんに当てるだけで、握る必要はありませんが初めてでしたので、握ってもらいました。胡麻をするのも同じ要領ですよ。
さあ、最後の工程、オイルを入れていきます。腕がなまりのようでしょうが、ここで力を緩めてはダメ」
~腕が重くなったのか、腕の力が急にぬける様子にすかさず交代の声。
吉野「今、つくっているのは<たまねぎぼうや>です。ボウルの中には醤油と玉ねぎ酢、オリゴ糖、醤油、酢が入っています。ドロドロの玉ねぎが一番下。あとは比重が重いものから順に底の方へ沈む性質があります。
これらの基礎原料をまんべんなく混ぜ合わせ、全体の味が馴染んだら、最後にオイルを入れます。軽く回っていたのに、オイルが加わると、とたんに重くなったでしょう。天気の悪い日や、寒い日はオイルが固くなりますから、もっと重くなります。
ここで油断すると、せっかく均一に混ざったものが元の木阿弥です。ここはただ我慢して混ぜる。たとえ腕がちぎれそうになっても我慢しなければいけません。
もし“手づくりの味”というものがあるとすれば、それは、この“手ワザ”から生まれたものでしょう。
交代してもらったのは、回転スピードが遅くなると、比重のバランスがくずれるからです。そのままをビン詰めすると、オイルの比重バランスが悪くなります。
こっちはオイルが少ないのに、これは多い、というアンバランスが生じます。
味自体にもかかわりますが、摂取カロリーも違ってきます。オイルが多ければカロリーが高くなるし、少なければ少ないで、舌ざわりやノド越しのまろやかさがなくなります」
お客「テレビの料理教室で、ドレッシングのつくり方を見ていると、分量に分けた材料をミキサーに入れスイッチオン。簡単ですね。それと同じで、ミキサーだけが超大型だと思っていました」
吉野「食品メーカーの決めた味が、日本人の味覚や美味感覚を決めていくように思います。だから、その美味しさの元はどうなっているのかを知ってもらう必要があります。
これは、たった今、届いた<へべす>です。少し、寝かせてからぽん酢をつくります。このへべすのように、地域で眠ったままの食材に光を与えてやることも大切な仕事の一つだと考えています。
緒方さん。長時間有難うございました。またのお出でをお待ちしてますよ」
いさかいが続くと味づくりに影響します。本当ですよ。例えばミキシング作業。ドレッシングづくり最後の工程で、オイルを垂らし入れながら、ゆっくり、ゆっくりと混ぜて、醤油や酢、玉ねぎと合わせます。味を馴染ませ、バランス良く仕上げるには、一定のリズムが必要で、一番、神経を使う作業です。
しかし、もやもやしたままでやるとうまくいきません。渦の流れに乱れが生じ、渦が大きくなったり小さくなったりします。玉杓子を回すスピードも速くなったり、遅くなったり。十分に酸素を吸わせてやれないまま、とんがった味になります。
工場見学のお客様が昼の食事をすませて戻られたようですね。
吉野「お帰りなさい。ちょうど、良かった。お客さん、貴方、時の氏神ですね。えっ、な~に、こっちの話ですよ。これから、ミキシングを見ていただきます」
お客「大宰府天満宮に寄り道したので遅くなりました」
吉野「それは良かったですね。修学旅行が多かったでしょう。なにしろ学問の神様ですからね。こっちもしっかり勉強してくださいね。
どうです。ちょっとやってみませんか。なにをってミキシングですよ」
お客「体験学習ですか。緊張しちゃうな」
吉野「心配しないで。ちゃーんと教えますから。
まず、この玉杓子の棒の上の方を右手で包み込むように握ってください。左手は、手を添えるように軽くね。じゃあ、杓子を時計周りに回してください」
お客「こうですか」
~いきなり、力を込めて回す。
吉野「こりゃ、ダメだ。いいですか。回せばいいというものではありませんよ。回してはダメ。右手で突いてごらんなさい。ボウルの真ん中じゃなく、ちょっと左側。そこそこ」
お客「回り始めたが、重いね。腕がだるくなっちゃった」
吉野「手を緩めたらダメですよ。肩の力を抜いて。右で突く。左手は軽く添えるだけですよ。そうそう。その調子」
~ウズが大きくなり、流れも速くなったのを確かめて
吉野「色が変わり始めたでしょう。上と下がまざってきたからです」
お客「底の方に沈んでいた醤油がウズの中心に集まり、ボウル全体に広がりましたよ。
不思議だな。杓子は回すものだと思っていたのに、突いてやるだけで、自然に回るのですね」
吉野「本当はね、右手は棒のてっぺんに当てるだけで、握る必要はありませんが初めてでしたので、握ってもらいました。胡麻をするのも同じ要領ですよ。
さあ、最後の工程、オイルを入れていきます。腕がなまりのようでしょうが、ここで力を緩めてはダメ」
~腕が重くなったのか、腕の力が急にぬける様子にすかさず交代の声。
吉野「今、つくっているのは<たまねぎぼうや>です。ボウルの中には醤油と玉ねぎ酢、オリゴ糖、醤油、酢が入っています。ドロドロの玉ねぎが一番下。あとは比重が重いものから順に底の方へ沈む性質があります。
これらの基礎原料をまんべんなく混ぜ合わせ、全体の味が馴染んだら、最後にオイルを入れます。軽く回っていたのに、オイルが加わると、とたんに重くなったでしょう。天気の悪い日や、寒い日はオイルが固くなりますから、もっと重くなります。
ここで油断すると、せっかく均一に混ざったものが元の木阿弥です。ここはただ我慢して混ぜる。たとえ腕がちぎれそうになっても我慢しなければいけません。
もし“手づくりの味”というものがあるとすれば、それは、この“手ワザ”から生まれたものでしょう。
交代してもらったのは、回転スピードが遅くなると、比重のバランスがくずれるからです。そのままをビン詰めすると、オイルの比重バランスが悪くなります。
こっちはオイルが少ないのに、これは多い、というアンバランスが生じます。
味自体にもかかわりますが、摂取カロリーも違ってきます。オイルが多ければカロリーが高くなるし、少なければ少ないで、舌ざわりやノド越しのまろやかさがなくなります」
お客「テレビの料理教室で、ドレッシングのつくり方を見ていると、分量に分けた材料をミキサーに入れスイッチオン。簡単ですね。それと同じで、ミキサーだけが超大型だと思っていました」
吉野「食品メーカーの決めた味が、日本人の味覚や美味感覚を決めていくように思います。だから、その美味しさの元はどうなっているのかを知ってもらう必要があります。
これは、たった今、届いた<へべす>です。少し、寝かせてからぽん酢をつくります。このへべすのように、地域で眠ったままの食材に光を与えてやることも大切な仕事の一つだと考えています。
緒方さん。長時間有難うございました。またのお出でをお待ちしてますよ」
Posted by 吉野父ちゃん at 16:00│Comments(0)
│まさかの人生