悪魔のソース・博多んぽん酢を新しい博多の名物にしたい。老人のかなわぬ夢でなく、夢を現実にしてみたい。脳梗塞から三度の生還。ヨレヨレ、ボロボロになりながら、果たせぬ夢を追い続ける男に、強力な助っ人が現れた。平凡だったそれまでの人生が「まさか」の出来事で、がらりと変わる。一度ならまだしも、それが二度も三度も続いた。波乱万丈だが実に、愉快だった。人生の終末期を迎えた今、またもや「まさか」の驚きである。ヒルマン監督ではないけれど、信じられな~いのだ。人生、終わり良ければすべて良しなのだが、それはまだわからない。

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2005年03月19日

どうやら、トマトに出番が来たようだ!

 21年前のことでした。福岡の大丸百貨店に「悪魔のソース」というネーミングのソースの専門店を出したばかりの私の前に大男が現れた。どう見たってタダモノではありません。体中から精気が溢れている。自信満々の面構えなのです。ギョッとする私へ

 「なんだ、なんだ、此れ。トマトのドレッシングだろう。それが、なぜ悪魔なの?」

 なんて言って、一人ご機嫌な人は、三越百貨店の重役を辞めて、銀座に開店するプランタンデパートの総指揮官に就任したTさんでした。

 普通、デパートと取引する場合、取引申請書のほか、会社の決算書や登記簿謄本など面倒な書類が必要なのだが、わずか10分の立ち話で取引が決まりました。

 嬉しかったね。銀座だよ。さあ、これからだ。その時は心底、そう思いました。ところが、落とし穴があったのです。商品を入れる冷蔵庫がありませんでした。

 仕方がないので、四角の小さな冷蔵庫で、牛乳と一緒に並べて売ったのですが、これでは売れる訳がない。仕入れたものの「まさかナマもの」とは思わなかったというから、お粗末な話です。

 以後、あちこちで売りましたが、サッパリ売れません。仕方がないので、業務用は製造するが、一般小売用は製造休止にしました。

 そのトマトが息を吹き返しました。ぽん酢を買って頂いたお客様には、業務用で余分が出たソースをオマケにつけていますが、好評なのがトマトです。暖かくなったせいでしょうか、トマトの注文が増えたのです。

 神戸のデパートに、ドイツの食肉マイスターのお店があります。このお店でサラダを買っている者だが、トマトのドレッシングを分けて欲しいという電話がありました。容器も大きいし、量的な制約があります。それに第一、お店に無断でお売りすることは出来ない旨をお話し、丁重にお断りしました。

「それは良く分かります。そう言われるのは当然です。お店の人も簡単に製造元の名前や電話番号を教えてくれたのではありません。私たちの熱意に負けて、わがままを聞いていただいたのです。」

「お客さん、ちょっとお聞きしますが、今、私たち、そう言われましたね。お一人じゃないのですね。」

「六人でグループ買いします。友達に声かけすれば、10人や20人はすぐ集合ですわ」

 これとは別に、京都からは23本の注文がありました。私2本、ウチは人数少ないから1本、食べ盛りがいるから3本貰おうか。手にとるように会話が想像できます

 化学調味料の取り過ぎで、舌の表面にある味覚芽が失われ、何も味を感じない病気が若者を中心に増えている。この味、分かる人には分かってもらえるな。博多んぽん酢と同じように、どうやら、トマトにも出番が来たようだ。

 3月25日で、創業25周年を迎えます。いいものを正直価格で。当たり前のことを当たり前につくりたい。日々の積み重ねで、支えて頂いたお礼に代えたい。



「この度は沢山のご注文を頂きまして誠にありがとうございました。トマトドレッシングは、以前から京都のお客様には沢山、お買い上げを頂いております。老舗のご年配の方から若い方と嬉しいことです。また、神戸にも お客様が沢山、いらして下さって感謝しています。博多んぽん酢は、鍋以外にもいろいろ利用でき、美味しいと大変、好評を頂いています。今後ともよろしくお願いいたします」

 納品書を入れた封筒の表に家内の走り書きがありました。  


Posted by 吉野父ちゃん at 08:00Comments(0)まさかの人生